建替えの制約を乗り越え、この場所で保育を続ける

東京都板橋区にある既存保育園の解体・建替え・引越を伴うプロジェクト。長年にわたり地域に根ざしてきた園の日々の営みや風景を丁寧に読み取り、それらを新たな空間として再構築することを目指した。
移転や仮園舎を造らずに、限られた敷地条件と段階的な建設という制約の中で「この場所で保育を続ける」ことを前提に、保育室棟と遊戯室棟の2棟に分けて計画を行った。

建物ボリュームをずらして配置することで、仮設園舎を設けることなく、日々の保育を継続しながら広い園庭を確保する計画とした。子どもたちにとって「ちょうどよい安心感」が感じられるよう、家具や素材のスケール感にこだわり、保育室は木質を基調とした親しみやすい空間とした。壁面全体を収納家具として構成することで、子どもの目線に合わせた設えを実現。さらに家具の間に設けた窓からは柔らかな光が差し込み、温もりのある明るい保育環境をつくり出している。

新しい園舎でありながらも、この場所で積み重ねられてきた日常の風景を大切にし、保育に自然に寄り添う空間を目指した。